腕時計
ビジネスシーンにマッチした腕時計の選び方
覚えておきたい4つの条件。
2022.10.06(最終更新:2024.07.02)
ビジネスシーンで身につける腕時計を選ぶときは、スーツスタイルと相性のいいものを探す必要があります。ビジネスシーンにふさわしい腕時計を着用することで、仕事における信頼感も高まるはず。ビジネスマンに似合う腕時計の選び方を知り、身の丈に合った装いを心がけましょう。
この記事では、ビジネスマンに似合う腕時計について、選び方やつけるときのマナー、専門用語などを解説します。
ビジネスシーンに合う腕時計の条件
ビジネスシーンで一目置かれるためには、着用する腕時計にも気を配らなくてはなりません。腕時計は目立たない小物だからこそ、ビジネスマンとしての品格が問われる要素だと言えるでしょう。ここからは、ビジネスシーンに合う腕時計の4つの条件について解説します。
アナログ式
腕時計はアナログ式とデジタル式の2種類に大きく分けられます。アナログ時計とは、針が動いて数字を指し示すことで時刻を表す時計のことです。時針と分針の2本のみで時刻が表される二針時計や、さらに秒針が加わった三針時計などがあります。また、文字盤上に配置されたインダイヤルに秒針が表示されるタイプの腕時計もあります。アナログ時計では、文字盤を見たときに針の位置から直感的に現在時刻を把握することができます。
デジタル時計とは、液晶画面などに数字を表示して時刻を表す時計のことです。アナログ時計に比べ、正確に現在時刻を把握できるという特徴があります。アナログ時計よりもレイアウトの制約が少ないため、多様なデザインがあることも特徴のひとつです。
ビジネスシーンで腕時計をつけるときは、アナログ方式のものを選ぶのが鉄則です。デジタル時計はデザインの自由度が高く、その分カジュアルな印象が強くなります。ビジネスマンにふさわしい装いを心がけるのであれば、長い歴史のあるアナログ式の三針時計を選ぶのが賢明です。ただし、休日のコーディネートでスーツをカジュアルダウンさせたいときなどはデジタル時計を合わせるのもいいでしょう。
ちなみに、アナログ時計の機構には主に機械式とクオーツ式の2種類があります。機械式とは、巻いたゼンマイがほどけていく力で針を動かす機構のことです。構造が極めて複雑で、主に高級腕時計でこの機構が採用されています。クオーツ式とは、電気を流すと振動する水晶の特徴を利用した機構のことです。時を刻む精度が圧倒的に高く、内蔵された電池で動きます。長く愛用するためには、機械式ならオーバーホールを、クオーツ式なら電池交換を定期的に行わなくてはなりません。機械式の腕時計は丁寧にメンテナンスをすれば長く使え、高い資産価値を有するものもあります。腕時計をステータスの象徴として身につけたいのであれば、歴史があるブランドの機械式がおすすめです。
文字盤は白
ビジネスシーンにおける腕時計の文字盤は白色がおすすめです。白い文字盤には清潔感があり、相手に誠実な印象を与えることができます。実用性の面でも、白い文字盤には針の位置を見誤りにくいというメリットがあります。紛らわしい色の文字盤の腕時計の場合、急いでいるときなどに時刻を見誤って、重大な商機を逃す恐れも。白い文字盤の腕時計はビジネスシーンに限らずあらゆるシーンで使えるため、1本用意しておくことをおすすめします。
腕時計で個性を出したい場合は、ビジネススーツと親和性の高い青や黒の文字盤を選ぶのもひとつの方法です。青の文字盤には知的でスマートな印象があり、ネイビーのスーツとも相性がいいでしょう。黒の文字盤は重厚感を演出したいときに適していますが、針の位置が見にくくなりやすいので注意が必要です。現在時刻がひと目で把握できるように、あくまでも視認性の高さを重視して腕時計を選ぶようにしてください。
ケースの形状はラウンド
アナログ時計のケースの形状には、ラウンドやスクエア、レクタンギュラーといった種類があります。このうち、最もビジネスシーンに適している形状はラウンドです。ラウンドは丸型のケースで、オーソドックスなタイプなので悪目立ちする心配がありません。針先がフレームに沿って移動する安定した形であり、大事な商談などで信頼感を演出したいときにもおすすめです。
小物で個性を演出したいのであれば、スクエアの腕時計を選ぶのもいいでしょう。正方形のスクエアは実直で知的かつおしゃれな印象を与えます。デザイナーなど、クリエーティブな職業の人は選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。長方形のレクタンギュラーも、スクエアと同じように角張った形状です。スクエアの知的な印象にドレッシーな雰囲気がプラスされるため、フォーマル度の高いパーティーへ参加するときなどに着用するといいでしょう。
ラウンドでは普通すぎる、スクエアやレクタンギュラーよりも柔らかい印象にしたいという人にはトノーをおすすめします。トノーは樽(たる)のように中央部が膨らんだ形状で、1910年代から1930年代にかけて欧米で流行したアール・デコ様式のデザインです。ケースの角が滑らかに丸まっているため、スクエアやレクタンギュラーよりも柔らかい雰囲気があります。
ベルトは革または金属
ビジネスシーンで使う腕時計のベルトの素材は、革もしくは金属を選ぶのが適切です。ラバーやファブリックなどの素材を採用したベルトはカジュアルな印象が強く、ビジネスシーンには適していません。
革製のベルトはフォーマル感が強く、落ち着いた雰囲気があります。金属製のベルトよりも軽やかな印象があり、季節やその日の服装に合わせて気軽に変更できるタイプのものは、より魅力があります。ただし、汗に濡れると劣化する場合があるため、夏場の着用は避けるのが賢明です。
金属製のベルトには主にチタンやステンレスが使われています。チタンは軽いので腕が疲れにくく、ステンレスは耐久性に優れています。ややカジュアルな印象がありますが、外回り仕事をはじめ、腕時計に耐久性が求められる場合は金属製のベルトが向いているでしょう。水に濡れても劣化しにくいため、夏場は革でなく金属のベルトを選ぶことをおすすめします。
ビジネスやフォーマルシーンでつける時計の選び方・マナー
場にそぐわない時計を選ぶと、自分が恥をかくだけでなく、相手にも不快な印象を与えかねません。腕時計を購入するときは、シーンに合わせた選び方やマナーを押さえておきましょう。ここからは、ビジネスシーンやフォーマルシーンで着用する時計に関するマナーや、選び方について解説します。
腕時計はビジネスシーンの必須アイテム
腕時計を着用することはビジネスシーンにおける基本のマナーです。スマートフォンなどのIT端末が普及した現代社会では、さまざまな方法で時刻を確認できます。そのため、腕時計をつける必然性を感じない人もいるのではないでしょうか。
しかし、ビジネスの世界では長い歴史の中で培われてきた礼儀が重んじられます。商談の最中にスマートフォンで時刻を確認する相手に対して、ネガティブな印象を抱く人は少なくありません。「基本の身だしなみも知らない」と判断される場合もあるため、特に大事な場面では腕時計を着用することが必要です。
また、ビジネスマンにとって腕時計は一種の教養でもあります。入手困難な腕時計を身につけることで愛好家の目に留まり、時計をきっかけに話が広がることもあるでしょう。腕時計はビジネスシーンにおけるコミュニケーションツールとしても役に立つのです。
そして、腕時計はビジネスマンのステータスの象徴だと言えます。仕事で成功して高価な腕時計を身につけることをひとつの目標としている人もいるのではないでしょうか。ロレックスやタグ・ホイヤー、オメガ、パテック・フィリップなど、誰もが知る高級腕時計を着用すれば、仕事へのモチベーションも高まるのでは。
オーソドックスなデザインを選ぶ
ビジネスシーンで使う腕時計は、なるべくオーソドックスなデザインのものを選びましょう。高級腕時計のなかには派手なデザインのものもありますが、悪目立ちしてしまう恐れがあるので避けるのが無難です。避けるべきデザインとしては、ダイヤモンドなどの宝石を文字盤にちりばめたものや、バンドの素材にゴールドを使っているものなどが挙げられます。ただし、インデックスやリュウズの装飾として控えめに宝石があしらわれている程度なら問題ありません。
最もオーソドックスなのは、文字盤が白でラウンド型、ベルトに革かステンレスを使っている三針時計です。多少個性を加えて手元をおしゃれに演出するのはいいですが、基本の型から逸脱しすぎないように気をつけましょう。
デザインのトレンドを重視しすぎるのも考えものです。人気の腕時計は時代によって変わりますが、機械式などの高価な製品は長年愛用することになります。プライベートや冠婚葬祭など、ビジネス以外の場面でも着用する機会は多いでしょう。時代遅れのデザインに恥ずかしい思いをしないためにも、高価な腕時計ほどオーソドックスなものを選ぶのが賢明です。
袖口に収まるスマートな腕時計を選ぶ
スーツと腕時計を合わせる場合、腕を下ろしたときに腕時計が袖口に収まらないと不格好な印象を与えます。シャツやスーツの袖口に収まるように、腕時計はなるべくスマートなサイズのものを選びましょう。一般的に、スーツとよく合う腕時計のケースの直径は36~40mm前後だと言われています。必ずしもこの範囲内に収める必要はありませんが、腕時計選びのひとつの参考にするとよいでしょう。
なお、通常よりもケースが大きい腕時計のことをビッグフェイスと言います。インパクトがあり、男性らしさを強調できるビッグフェイスは人気の高いファッションアイテムですが、カジュアル度が高いのでビジネスシーンには向きません。また、ケースの直径だけでなく厚さにも注意が必要です。ケースが分厚すぎても袖口には収まらなくなるため、スーツに合わせるときはボディーがスリムな腕時計を選ぶことをおすすめします。
腕時計のベルトはスラックスのベルトや革靴に合わせる
スーツをスタイリッシュに着こなすポイントのひとつは、小物の色や質感をそろえることです。スーツに合わせるベルトと革靴の色は主に黒または茶の2種類ですが、ベルトが黒なら靴も黒といったように、両方の色はそろえるのが鉄則です。腕時計についても同様で、ベルトの色はほかの小物とそろえるようにしましょう。小物の色を合わせることでコーディネート全体に統一感が生まれ、スマートなスーツの印象が引き立ちます。
革製のバンドであれば、黒や茶のものを用意しておくと便利に使えます。金属製の場合は、ベルトのバックルと色や質感をそろえるのがおすすめです。同系色の小物を採り入れてスーツスタイルをきれいにまとめれば、センスのよさをアピールできるのではないでしょうか。
スーツの価格帯に合わせる
身につけているスーツと腕時計の価格帯がまったく違う場合、相手にちぐはぐな印象を与えます。そのため、高級スーツには高級腕時計といった具合に、スーツと腕時計の価格帯を合わせることも大切です。リーズナブルなスーツしか持っていないのであれば、腕時計もクオーツ式などのリーズナブルなものを選んだほうがよいでしょう。機械式の高級腕時計を身につけたいときは、同時にスーツもアップグレードしておけば違和感は生じないはずです。
覚えておきたい腕時計の専門用語
専門用語の意味を理解すれば、腕時計の奥深い世界をより詳しく知ることができます。ここからは、覚えておきたい腕時計の専門用語について解説します。
ベルト
ベルトとは、腕時計を腕に装着するためのものです。革やラバーなどの素材で作られたベルトはストラップ、金属製のベルトはブレスレットと呼ばれることもあります。なお、ベルトを固定するための金具はバックルと言います。
ケース
ケースは腕時計の本体のことで、文字盤や針、機械などがすべてケースの中に収められています。ケース正面のガラス部分は風防と呼ばれ、現在ではサファイアガラスが使われているのが一般的です。古い腕時計ではプラスチックガラスが使われている場合もあります。腕時計のケースのなかでは、ロレックスが完成させた防水特化型のオイスターケースが有名です。
ダイヤル
ダイヤルとは腕時計の文字盤のことです。ダイヤルの色やデザイン、装飾が腕時計の印象を大きく左右します。腕時計の顔とも言える部分で、ビジネスシーンで使う腕時計を選ぶときはダイヤルのデザインをしっかりと吟味する必要があります。
インダイヤル
インダイヤルとは、ダイヤルの上に配置された小さな文字盤のことです。カウンターやサブダイヤルなどと呼ばれる場合もあります。ストップウォッチ機能など、時刻の表示以外の機能が搭載されている腕時計にはインダイヤルが搭載されています。インダイヤルがついた機械式時計は機構が複雑で、高級時計として販売されているのが一般的です。
インデックス
インデックスとは、文字盤の周囲に刻まれた、時刻を示す目盛りのことです。アナログ時計では、インデックスと針の位置関係から現在時刻を把握します。アラビア数字やローマ数字が記されたものや、バーが12本配置されたシンプルなものなど、インデックスのデザインはさまざまです。インデックスが宝石で飾られた豪華なタイプもあります。
ベゼル
ケースの風防を覆うように取り付けられているリングのことをベゼルと言います。風防を固定する役割があり、数字が刻印されていたり、ダイヤモンドが飾られていたりと幅広いデザインがあります。時間計測などの目的で、ベゼルを回転させて使うタイプの腕時計も市販されています。
リュウズ
リュウズとは、ケースの側面に取り付けられた突起状のパーツのことです。ゼンマイの巻き上げや時刻の調整、時間測定などを行うときにリュウズを操作します。回しやすいように、リュウズの表面はギザギザに加工されている場合が多いです。漢字で「竜頭」と記載されることもあります。
ラグ
ケースとバンドをつなぎ合わせるためのパーツがラグです。ケースの上下から飛び出すような形で取り付けられていますが、ラグがない腕時計も存在します。ベルトを接続させる部分、つまりラグの内側の間隔をラグ幅と言います。ベルトを交換する場合は、ラグ幅に合った太さのベルトを選ばなくてはなりません。
ムーブメント
ムーブメントとは時計を動かす機構のことで、時計の心臓ともいえるパーツです。先述のとおり、主に機械式とクオーツ式の2種類があり、機械式はさらに手巻き式と自動巻き式に分けられます。手巻き式の場合、定期的に自分でゼンマイを巻き上げる必要があります。
ギョーシェ
ギョーシェは文字盤を装飾する技法の一種で、手工具などを用いて文字盤に規則的な模様を彫り込みます。時計職人のブレゲが18世紀に考案したと言われており、文字盤の乱反射を抑えて針の視認性を向上させる効果があります。波模様や放射状など、ギョーシェにはさまざまなパターンがあり、腕時計にクラシカルな風格を漂わせてくれる技法です。
マニュファクチュール
腕時計のパーツの製造から組み立てまで、すべての工程を自社で行うメーカーのことをマニュファクチュールと言います。パテック・フィリップやヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマ・ピゲなど、腕時計業界を代表するメーカーがマニュファクチュールに数えられています。
トゥールビヨン
トゥールビヨンはフランス語で「渦巻き」を意味し、重力による時計の誤差を補正するための機構です。腕時計では装着者の姿勢によって機構にかかる重力が変わり、そのことがわずかな誤差を生み出します。トゥールビヨンでは、歯車を動かす機構をカゴの中に収め、そのカゴを回転させることで重力の偏りによる時計の誤差を防いでいます。ギョーシェ同様、トゥールビヨンも天才時計職人のブレゲが開発して特許を取得しました。
クロノグラフ
時間を計る機能のことで、簡単に言えばストップウォッチです。クロノグラフが搭載された腕時計ではダイヤル上にインダイヤルが置かれ武骨なデザインのものが多く、特に男性から高い人気を誇っています。
ムーンフェーズ
ムーンフェーズとは、文字盤に設置された、月の満ち欠けの状態を示す小窓のことです。ドレスウォッチに採用されることが多く、ロマンチックな雰囲気を味わいたい人におすすめの意匠です。
ドレスウォッチ
ドレスウォッチとは、実用性よりもデザイン性に重点を置いて製作された、フォーマルシーンに合う腕時計のことです。ケースがコンパクトで装飾が細かく、エレガントなデザインが特徴となっています。
スポーツウォッチ
スポーツウォッチとは、屋外で活動するときも着用できる、機能性や防水性に優れた腕時計のことです。作りが頑丈で実用性が高いため、さまざまな場面で活躍してくれます。例えば、ロレックスにはレーシングやフライト、アドベンチャーなどの場面をイメージして開発された人気モデルが多くあります。デイトナやGMTマスター、エクスプローラーなど、有名なモデルは知っている人も多いのではないでしょうか。
ダイバーズウォッチ
ダイバーズウォッチは、スポーツウォッチのなかでも特に防水性能に優れたモデルです。水中での使用を想定しているため、100m以上の潜水も可能な耐圧性を備えているのが特徴です。前述のロレックスの例で言えば、サブマリーナやシードゥエラーなどのモデルがよく知られています。
まとめ
腕時計はビジネスマンの必須アイテムですが、とにかくつければいいというものではありません。なるべくデジタルは避け、ベルトは革か金属のものを選びましょう。スーツの袖口に収まるように、フェイスが大きすぎない腕時計を選ぶことも大切です。また、靴やベルトなどの小物と色や質感をそろえれば、コーディネートにまとまりが出て、おしゃれな印象を与えることができます。ビジネスシーンで着用する腕時計は、スーツスタイルとの相性を考えながら選ぶといいでしょう。
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