週末の過ごし方
『THIS IS US /36歳、これから』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #7
2021.10.07
36歳――。それはとても奇妙な年頃だと監督は言う。20代の不安定な時期を乗り越え、それぞれ十人十色の人生を歩んでいる。同級生と自分を比較して焦ったり、独身を謳歌(おうか)しているフリをしたり、子育てに悩まされていたり、決断を迫られたり、家族とうまくいっていなかったり、再出発しようと奮起していたり……。誰もが自分の人生に対して何かを抱えている。30代になると、急に人生という言葉がリアルになってくるのだ。人生を見つめ直す、そんな時期なのかもしれない。
36歳の誕生日を迎えたジャック、ケビン、ケイト、ランダル。「現在」「過去」「未来」のエピソードを交え、ジグソーパズルのピースを埋めてゆくように、彼らの人生を追っていくヒューマンドラマ。本作が多くの人に支持される理由は、その人生のリアルさにある。
ジャックは父親になりこれからというときに、仕事がうまくいかず、アルコールに逃げてしまう。親とはうまくいっていなかったため、家族に対する理想が高く、妻はついていけなくなっていた。
ケビンは売れっ子の俳優だが、外見でしか評価してもらえないことに憤りを感じていた。くだらないと思っていたコメディ作品の収録中にブチ切れてしまい、キャリアアップのためNYへ飛ぶも業界の厳しさを痛感し、自信を失ってしまっていた。
ケイトは体型コンプレックスを克服しようとダイエットをしてみるも、続かずにいた。母とはうまくいっておらず、双子の弟に依存する傾向にあり、自分の人生を歩まなければと思っていた。
ランダルは必死にキャリアを積み、理想的な家庭を築いたが、実の父親を知らなかった。黒人の彼を迎え入れてくれたのは白人家庭。気づけば完璧でいることを常に意識し、我慢をすることが当たり前になっていた。