お酒

マッチの「記憶のアルバム」に加わる、
中目黒へのつかの間の里帰り。
マッチと町中華。【第4回】

2023.07.14

マッチの「記憶のアルバム」に加わる、<br>中目黒へのつかの間の里帰り。<br>マッチと町中華。【第4回】
「女将さん、めちゃくちゃおいしいです!」とマッチ絶賛。

本誌で大反響を呼んだ「マッチと町中華」。あの町、この町の味ありな中華店をめぐりながら、マッチがラーメンをすすり、時にはビールを飲みながら餃子を頰張る、わんぱくな大人のための食の探訪記。今回は“中目黒の宝”として愛される『宝来』が登場。マッチの「記憶のアルバム」に刻まれた思い出を振り返りながら、イノセントな町中華の魅力に迫る!

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東京屈指のおしゃれエリアといえば、中目黒を思い浮かべる人も多いはず。春は桜が満開に咲く目黒川沿いには個性豊かなショップや多彩なレストランが立ち並び、この街の感度の高さを物語っている。その一方で古くから続く飲食店も多く、新旧がバランスよく共存しているのも中目黒らしさといえるだろう。じつは、マッチもかつてこの町の雰囲気に魅せられ、長く暮らしたことがあるという。久しぶりの“里帰り”で、マッチは何を思い、感じたのか。

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カウンターからは厨房の活気を感じることができる。「ライブ感があってわくわくするね」

「だいぶ前のことになるけれど、10年くらい中目黒に住んでいた時期があります。友人たちには僕のイメージとは違うと言われることもあったけれど(笑)、自分が生まれた場所の雰囲気に少し似ている感じがして親近感がわいたんです。当時はガード下に居酒屋や焼き肉店が並んでいてちょっと大衆的なムードもあって。路地に入ると、ここで暮らす人たちの生活のにおいがするのが好きでしたね。仕事をして、ここに戻ってくるとホッと安心できる、まさにホームのような感覚。住んでいたころはいろいろなお店に飲みに行かせてもらっていました。8月になると夏まつりがあるんですけれど、そこでお神輿(みこし)を担いだりもしましたよ(笑)。分け隔てなく、人やものを受け入れてくれる寛容さがこの町にはある。その温かさがすごく好きだったし、いま思い出しても懐かしい気持ちになります」

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カウンターでビールを飲みながら餃子の焼き上がりを待つ。「メニューの数がすごくて思わず見入ってしまいます」

元来の愛されキャラ。マッチがかつて暮らしたこの町には、50年間、変わらぬ味で愛され続ける懐深き町中華がある。恵比寿に創業し、1984年に現在の場所に移転。女性店主の篠田順子さんが父母から受け継いだ店を切り盛りする『宝来』は、カウンターとテーブル席のみの小さな店だが、壁一面に貼られたメニューの数は圧巻。名物の餃子やもやしそばは界隈(かいわい)で暮らす著名人のファンも多く、開店前からオープン待ちの行列ができることも珍しくない。

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餃子(6個)550円。薄皮にはこんがりと香ばしい焼き目が。「キャベツがすごくシャキシャキしていて豚のひき肉もジューシィ!」

女将の篠田さんに出迎えられ、カウンター席に座ったマッチは壁のメニューを眺めながら、その数の多さに驚きを隠せない様子。「これだけの料理を出せるのは並大抵のことじゃないですよね」と言うと「父のころから比べると、これでも少なくなったんですよ」と篠田さんは笑顔を見せる。そして、まずはお決まりのビールと焼き餃子を注文。やっぱり、夏はこれがなくちゃ始まらない。

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「ニンニクと生姜もばっちり効いていてすごく好きな餃子。ビールもう1本追加しちゃおう(笑)」と大好物を前にマッチのテンションも高まる。

「夕暮れ時から町中華で飲めるのは幸せ。中目黒に来たのは久しぶりだけれど、こういうお店がある町はいいなとつくづく思います。近所だったら毎日通っちゃいそうです」とマッチ。ほどなくして運ばれてきた餃子は端正なビジュアルで焼き色も抜群に美しい。

マッチ流の餃子の作法として、最初は何もつけずにそのままで。ゆっくりとかみ締めながら「薄めの皮でキャベツのシャキシャキ感がすごい!」と目を丸くする。聞けば、キャベツは芯が柔らかい部分を手ぬぐいでしっかりと水切りをして使うという。「見えない部分に手間をかけることでこんなにおいしくなるんですね」とマッチも感心しきりだ。

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モヤシソバ880円。豊富にある麺料理のなかでもリピーター多数。「地元でよく食べていたサンマーメンに見た目がちょっと似ているかも?」とマッチ。
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夢中でモヤシソバをすするマッチ。「後を引くおいしさ! これが食べられるなら近所に住みたくなっちゃうね(笑)」

できあがったもやしそばが卓上に置かれるなり「これは食べる前から大好きだと確信。とろみのあるスープに目がないんですよ」と熱々を一気にすする。煮干し、昆布、豚骨ガラから取るまろやかなスープは「みなさん、熱い熱いと言いながら召し上がっています(笑)」と篠田さんは言うが、マッチは「暑いときに熱いものをいただくと、体の細胞が起きてスカッとしますよね!」とすがすがしい表情。

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    撮影を忘れて本気モード。固めにゆでた麺がマッチ好み。「とろみのある醤油味のスープがよく絡んでいて最高においしい!」
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    しばしクールダウン。「汗をかきながら食べることに集中していると、大げさじゃなくて生きててよかったと思う」とマッチ。

最後は店の前で記念写真を撮り、マッチのつかの間の“里帰り”はお開きに。

先代から受け継いだ味を守りつづける中目黒の町中華。時代に流されず、ブレない心を持つことが容易でないというのは、マッチ自身が常に感じていることでもある。

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最後は女将の篠田さんと店前で記念写真。「また中目黒に住みたくなりました」と言うマッチに「いつでもお待ちしています!」と篠田さんも嬉しそう。

「不易流行という言葉があるけれど、流行に左右されず、本質を見失わないのはとても大切ですごく難しい。ここにはまさにその心が息づいていると思いました。音楽も同じでロック、ダンス、ヒップホップなどさまざまなトレンドがあって。でも僕は歌手として、ずっと近藤真彦ソングというジャンルを貫きたい。それをやり抜くことに悩んだり苦しむときもあるけれど、ブレずに追い求めた先にしか見えない景色があると僕は思うんです」

宝来
東京都目黒区中目黒1-4-18
Tel:03-3791-7057
[平日]
昼12:00~14:30
夜18:00〜22:30(L.O.21:30)
[日]
12:00~21:00(L.O.20:00)
水・祝休

近藤真彦(こんどう・まさひこ)
1964年生まれ。歌手、俳優、レーサー、レーシングチーム監督、実業家。1979年テレビドラマ『3年B組金八先生』でデビュー。1980年以降はソロ歌手として、『スニーカーぶる~す』『ギンギラギンにさりげなく』『ハイティーン・ブギ』『ケジメなさい』『愚か者』などなど、ヒット曲を多数発表。現在もコンサートやディナーショーで多くの観客を魅了し、そのスター性は健在である。

NEWS!
マッチさんと、「マッチと町中華」のこぼれ話をVoicyで音声配信中。ぜひお聞きください!

<<<マッチと町中華。一覧はこちら

Photograph: Akira Maeda(MAETTICO)
Styling: Eiji Ishikawa(TABLE ROCK.STUDIO)
Hair & Make-up: GONTA(weather)
Text: Keiko Kodera

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