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スーツスクエア

新しい仕事着

イタリア現地取材Vol.1
本格始動した「スーツスクエア」が
「ヴィターレ・バルベリス・カノニコ」を推す理由

2025.10.03

イタリア現地取材Vol.1<br>本格始動した「スーツスクエア」が<br>「ヴィターレ・バルベリス・カノニコ」を推す理由

この秋から屋号を統一し、全国的に本格始動したスーツスクエア。4つのブランドで構成されるなか、中核を担うのがユニバーサルランゲージだ。そして、その目玉となるのがイタリア随一の生地メーカー、ヴィターレ・バルベリス・カノニコと協業した商品群。今年初めに現地工場を訪れ、魅力のゆえんを探った。

「ヴィターレ・バルベリス・カノニコ」は最良のパートナー

スーツスクエアは長年、国内外の一流メーカーと協業したオリジナル生地づくりに注力してきた。なかでも、世界有数の高級毛織物産地として知られるビエラに拠を構え、360年余りの歴史を誇る老舗、ヴィターレ・バルベリス・カノニコは特別な存在だ。

「企業規模としても業界トップクラスで、最先端の設備を導入して生地づくりを行なっています。しかし、決して効率重視ではなく、職人魂とも呼べるものづくり気質を備えたメーカーですね」

そう評すのは、スーツスクエアで商品企画を担当する八田智弘氏(写真上の右)。ヴィターレ・バルベリス・カノニコとの取り組みは非常に密で、ビエラの工場まで訪れてオリジナル生地を仕込んでいる。

「ヴィターレ・バルベリス・カノニコの真骨頂は、ひたむきな研究熱心さにあります。イタリア生地の代表格でありながら、英国的な生地も積極的につくる。イタリア随一の老舗でありながら、伝統に固執しない。その姿勢にいつも感銘を受けます」

伝統をベースに進化の歩みを止めない

ヴィターレ・バルベリス・カノニコの創業は1663年まで遡る。

「毛織物の取り引きに関する最も古い記録がその年にあり、実際にはもっと早くから事業を始めていたと思いますが、公式には1663年としています」

13代目当主のアレッサンドロ・バルベリス・カノニコ氏の言葉だ。ヴィターレ・バルベリス・カノニコはイタリアの生地の聖地と言われるビエラにおいて最古参であり、イタリアの高級ウール生地を扱うメーカーのなかでは最大の生産規模を誇る。2023年度の売上高は約16600万ユーロ(約260億円)、生産した生地は約800万メーター。これはスーツに換算すると約260万着分となる。

「私たちの強みと言えば、原材料の調達から最終フィニッシュまで、生地づくりのすべての工程を一貫して自社で行なっていることでしょう。それにより、品質のコントロールが完璧にできるのです。そして、早くからイタリア国外にも目を向けました。日本への輸出は1970年代にスタート。現在の輸出の割合は約80%ですが、占める割り合いは日本がいちばん大きく、なかでも青山商事(スーツスクエアの親会社)の取り扱いが最大です」

「私は年に2回ほど訪日します。日本の市場はトレンドに敏感で、品質に対して厳しい目を持っています。スーツスクエアとの取り組みは、とてもエキサイティング。要求のレベルが高く、私たちが学ぶことも多い。ですから、現状に満足せず、常に挑戦し続けなければいけません」

「地球の温暖化は日本でも問題となっており、スーツ離れが進んでいると聞きます。そうしたことを念頭に置くと、これからの生地づくりの鍵は『快適さ』になるでしょう。従来のウール生地はもちろん、新しい『オフリミッツ』というコレクションはこれからの時代に向けた新たな挑戦になります。ぜひご期待ください」

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老舗生地メーカーを牽引
ヴィターレ・バルベリス・カノニコ13代目当主のアレッサンドロ・バルベリス・カノニコ氏。ミラノ工科大学工学博士号取得。イタリアの国際的な服地見本市「ミラノ・ウニカ」会長も兼任。
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工場の近くを流れる水が清らかな川
ヴィターレ・バルベリス・カノニコの工場があるピエモント州ビエラはアルプスに近く、取り囲む山々から雪解け水が豊富に流れ込む。よい生地づくりには、よい水が欠かせない。

アーカイブの生地を現代的にアレンジ

「私たちには長い歴史があります。アーカイブの生地は財産とも言えるでしょう」

そう話すのは、生地デザイン部門のチーフを担う、ミケーレ・パブッツオ氏だ。

「今回のスーツスクエアのエクスクルーシブ生地は、2000年頃のアーカイブが基になっています。ただし、当時の生地をそのまま復刻するのではなく、ビンテージの雰囲気を残しながら、モダンな感性を融合した色柄に仕上げました。そのうえ、『21マイクロン』と呼ばれるコレクションをベースにしており、しなやかさや美しいツヤといった高級感を備えます。仕立て映えのよさも特徴ですね」

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クラシックな生地のデザインを担当
生地デザイン部門のチーフを務める、ミケーレ・パブッツオ氏。ヴィターレ・バルベリス・カノニコの在籍は36年目になる。
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整然と並ぶアーカイブ生地
ヴィターレ・バルベリス・カノニコにはご覧のようなアーカイブ室が存在する。まるで図書館のような様子。
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歴史を物語る生地見本帳
1900年前後のアーカイブ生地も。これらがヴィターレ・バルベリス・カノニコの伝統を現代に伝える。
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アーカイブ生地からインスピレーションが生まれる
アーカイブ室で次の取り組みについて話す、ミケーレ・パブッツオ氏と八田智弘氏。
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2026年秋冬の企画も進行中
膨大な過去の生地見本に真剣な眼差しを向ける。ここから、どのような生地が生まれるのか楽しみだ。

満を持して登場する最新作

スーツスクエアがヴィターレ・バルベリス・カノニコに別注した生地のコレクションはアーカイブを基にした24色、初の展開となる無地4色、加えて、スーツと同じ生地で仕立てたキルティングジャケットも登場する。

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伝統と進化を表現したスーツ
遠目には無地に見えて、近づくと控えめな同系色のチェック柄が浮かび洒脱さを演出。スーツ54,890円、ネクタイ6,589円、その他参考商品
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特別な織りネーム
ジャケットの内側には、別注生地の証しであるダブルネームのタグがつく。

新たな挑戦を示す「オフリミッツ」

「現代に求められるテーラードスタイルの具現化として『オフリミッツ』は2022年に誕生しました。ネーミングは“立ち入り禁止”という意味。私たち毛織物メーカーにとってはタブーとされてきた化学繊維を取り入れ、伝統の生地づくりと融合させようという取り組みです。背景には地球温暖化問題、そしてビジネススタイルの多様化があり、より快適な機能生地づくりを目指しています」

そう話すのは「オフリミッツ」デザイナーのグレゴリオ・アリエッタ氏。

「スーツスクエアの別注企画では、21マイクロンウールと再生ポリエステル・レーヨン・ポリウレタンをブレンドした新機軸の生地を開発しました。機能性の高さはもちろんですが、ヴィターレ・バルベリス・カノニコが手がけたがゆえのエレガントな風合いを実感していただきたいですね。私たちは生地屋なので、どのようなウエアになるかは、関わっていません。だから、楽しみなのです。スーツスクエアがどのようにウエアに仕上げるのか。私たちの生地の魅力を最大限に引き出してくれるのは間違いないですね」

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新基軸「オフリミッツ」の推進役
「オフリミッツ」デザイナーのグレゴリオ・アリエッタ氏。4年前にヴィターレ・バルベリス・カノニコに加わり、「オフリミッツ」を立ち上げた。
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時代が求める機能生地を開発
どのようなウエアになるのかを念頭におきながら、生地のデザインを模索する。

多様化するビジネススタイルに対応

「オフリミッツ」の生地を用いたコレクションはシングルジャケットのセットアップ2色、ダブルジャケットのセットアップ2色、ノーカラージャケットのセットアップ2色、シャツのセットアップ3色、そしてステンカラーコート2色の展開。快適な着心地を約束しながら、品位の高さをキープした新しいビジネススタイルを提案する。

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仕事着の進化を象徴する一着
「オフリミッツ」のファブリックを採用した、ノーカラージャケットとドローストリングパンツのセットアップ。仕事着の新時代を象徴する、モダンなたたずまいが新鮮。ジャケット36,190円、パンツ18,590円、カットソー6,589円
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ネーミングに秘められた挑戦心
オフリミッツとは“立ち入り禁止”という意味。ヴィターレ・バルベリス・カノニコの挑戦を託したネーミングだ。
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ネクタイをプレゼント
スーツと同じ生地で製作したネクタイ。こちらはヴィターレ・バルベリス・カノニコの生地を用いた商品を購入した方にプレゼントされる。※数に限りがあり、なくなり次第、終了。詳細は取り扱い店舗にてご確認ください。

<<スーツの進化、鍵は生地にあり。日伊合作でつくる新しい仕事着

Direction/Teruhiro Yamamoto(YAMAMOTO COMPANY)
Edit/Kenji Washio
Text/Hiromitsu Kosone
Photograph/Mitsuya T-Max Sada, Masanori Akao(whiteSTOUT)
Styling/Kohei Kubo
Hair/Kazuya Matsumoto(W)

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