特別インタビュー

オフィスワーカー専用アトリエコート。

2022.01.04

ファッションエディターの審美眼にかなった、いま旬アイテムや知られざる名品をお届け。

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フリーサイズで体型を問わず着られる、巧みな設計。色はネイビーのほか、ホワイト、ブラウン、ブラックがあり。現在はオンラインストア(https://sowercoat.com)のみで購入可能。¥33,000(SOWERCOAT)

フリーエディターといえば響きこそ華やかだが、一日の大半は自宅での原稿やコンテ執筆、校正作業などに費やされる。当然そのときの格好は快適さが最優先されるので、僕のようなベテランともなれば、人には言えないような格好で原稿を書いていたりもする……。

しかしそんな日々とは、そろそろお別れすることになった。なぜなら諸事情により、これからは事務所で作業しなくてはならないから。もういままでみたいにだらしない格好で原稿が書けない……どうしよう!

そんなときに出合ったのが『SOWERCOAT』である。要するに昨今ファッション的なトレンドにもなっているアトリエコートなのだが、こちらの志向は、セレクトショップなどに並ぶそれらとは、全く違う。ちまたのアトリエコートが、肉厚のコットンやポリエステルを用い、頑丈さや洗いやすさを最優先につくられていることに対して、この『SOWERCOAT』は、あくまで室内で仕事をするクリエーターを念頭に企画されたもの。あえて繊細なシャツ生地を用い、できる限り軽く、柔らかく、エレガントに見えるように仕立てられている。前者のように〝着るほどに味が出る〟ようなことはないが、僕のようなエディターをはじめ、いわゆるオフィスワーカーたちにとっては最適なコートなのである。

実をいうとこの『SOWERCOAT』は、この世界ではかなり有名なデザイナーさんと、イタリア修業の経験を持つ実力派のテーラーさんとが、〝自分たちが働きやすい服をつくる〟ことを目的に、コラボレートしてつくり上げたもの。フリーサイズなのに誰でも快適に動けて、しかも格好よく見えるパターンや、隅々まで突き詰めた嗜好(しこう)性の高いディテールなど、その完成度はさすがというよりほかない。

あえて欠点を挙げるとしたら、〝誰でも仕事ができそうに見えてしまう〟ことくらいかも。というわけで、今後僕と仕事をする皆さま、あまり期待しすぎないでくださいね!

山下英介(やました・えいすけ)
ライター・編集者。1976年生まれ。『LEON』や『MEN'S EX』などの編集や、『MEN’S Precious』のクリエイティブ・ディレクターに従事した後、独立。趣味はカメラと海外旅行。

「アエラスタイルマガジンVOL.51 AUTUMN / WINTER 2021」より転載

Photograph: Satoru Tada(Rooster)
Styling: Hidetoshi Nakato (TABLE ROCK.STUDIO)

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