紳士の雑学
世界最薄! ついに2ミリ!
SIHHでピアジェが発表した自動巻き腕時計
[男の服飾モノ語り]
2018.02.08
1月にスイスのジュネーブで開催された時計の国際展示会SIHHでは、35のブランドが新作を発表した。
取材して最も驚かされたのは、ピアジェの「アルティプラノ アルティメート・オートマティック」。ケース厚は、自動巻き腕時計で世界最薄の4.3ミリ。薄さの実現のために、取り付けられた219個の部品ひとつひとつを極限まで薄くしている。なかには、髪の毛の太さよりもわずかに厚いだけの0.12ミリ厚の歯車も組み込まれている。
ピアジェは、時計のムーブメント工房として1874年に誕生。いまでは華麗な宝飾品をつくるジュエラーとしても名を馳せるが、マニュファクチュールと呼ばれるのにふさわしい、パーツに至るまで自社で開発するメゾンでもある。
「薄さはピアジェのDNA」と、開発担当者のひとりは語る。言葉のとおり、1957年にいちはやく極薄手巻きムーブメントを発表して以来、腕時計の薄さは、このメゾンによって歴史を進めてきたといっても過言ではない。薄さの技術は、エレガントな造形につながる。ここ数年のデカ厚時計の流行は影を潜め、他の多くのブランドからも小さくて薄い腕時計が発表されている。
じつは今回のジュネーブで、ピアジェはさらなるサプライズを用意していた。「アルティプラノ アルティメート・コンセプト」、世界にひとつのコンセプトウォッチ。ケース厚は、なんと2.0ミリ。開発には、4年の歳月を費やしたそうだ。「極薄はもはやコンプリケーション(複雑機構)」と胸を張る担当者に「いつ発売されるのか?」と質問を畳みかけると、「いつか」と含みのあるほほ笑みを返された。近い将来であることを期待して、待ちたいと思う。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
山本晃弘(やまもと てるひろ)
AERA STYLE MAGAZINE編集長
「MEN’S CLUB」「GQ JAPAN」などを経て、2008年4月に朝日新聞出版の設立に参加。同年11月に、編集長として「アエラスタイルマガジン」をスタートさせる。雑誌の編集の傍ら、朝日新聞や朝日新聞デジタルに掲載する、ファッション&ライフスタイル系の広告コンテンツや動画の制作も手がける。現在はトークイベントを通じて、ビジネスマンや就活生にスーツの着こなしを指南するアドバイザーとしても活動中。