週末の過ごし方

ほの暗さに安らぎを感じる。懐深いカレーを求めて神保町へ
[喫茶店ランチを愛す]

2018.08.02

本庄真穂 本庄真穂

ほの暗さに安らぎを感じる。懐深いカレーを求めて神保町へ<br>[喫茶店ランチを愛す]
ランチセットの「チキンカレー」は、サラダ、スープ、コーヒー(ブレンド、ウィンナーコーヒー、アイスコーヒーのいずれか)が付いて¥950。ランチセットはほかに「ナポリタン」¥950も。いずれも17時まで。18時までやっているケーキセットは、ケーキ+コーヒー(ブレンド、ウィンナーコーヒー、アイスコーヒーのいずれか)で¥670。夜はバーになり、生ビール(グラス¥400、ジョッキ¥600)やグラスワイン¥600などを提供。

時代の荒波にもまれ、ニッポンのビジネスマンは今日も行く。だからこそ、ひと息つける安らぎの場所は確保しておきたい。そこで、喫茶店ランチである。心と体をほぐし、英気まで養える、そんな都会のオアシスを紹介していく。

神保町でカレーを出す名店はたくさんあるが、ここラドリオで食べるカレーはほかと何が違うのかを考えてみる。味わいは驚くほどマイルド。トマトベースの滋味深いルーが、ほろほろと崩れるチキンを優しく包む。刺激的な味ではなく、家庭のそれとも違う。ただ、いつ食べても変わらずおいしい。そんな懐の深さと安心感がある。

「昨年で代替わりして、私が店長を務めることになりました。何も変えていないし、むしろ変えたくない。カレーは先々代のレシピそのままです。メニューやインテリアはもちろんのこと、特に私は“照明の暗さ”を変えたくなかったんですよね」。そう語るのは、69年続く歴史のなかで、7代目となる篠崎麻衣子さん。

1050_K2A7857

そう、ラドリオは暗い。だが、窓があるから閉塞感がない。海の底に差し込む光を感じながら食べているような安心感。そのあたりに抜群の魅力を感じる。

さて、名物がもうふたつ。ひとつは日本で初めて出したことで有名なウィンナーコーヒー。苦さと甘さ、熱さと冷たさ。そのバランスが楽しい。もうひとつはかわら版。月に一度発行するこちらを楽しみに訪れるのは、私だけではないと思う。

神保町とカレー。奥が深く底がない、摩訶不思議なカルチャーである。

  • 960_K2A7835
  • 960_K2A7859

<<甘さを抑えた、紳士のためのフルーツサンド

  身も心もほどける最強オムライス>>

Photograph:Ryo Yonekura

プロフィル
本庄真穂(ほんじょう・まほ)
神奈川県生まれ。編集プロダクションに勤務のち独立、フリーランスエディター・ライターとなる。女性誌、男性誌、機内誌ほかにて、ファッション、フード、アート、人物インタビュー、お悩み相談ほか、ジャンル問わず記事を執筆。記憶に残る喫茶店は、山口県・萩にあるとん平焼きを出す店名のない喫茶店。福岡県・六本松の『珈琲美美』、神奈川県・北鎌倉の『喫茶 吉野』に通う。

あなたへのおすすめ

トレンド記事

  1. バーバリー、バブアーに次ぐ人気爆上がり中の英国老舗ブランド、バラクータ。<br>春アウターに最適の一着をビームスで発見!<br>ファッショントレンドスナップ 211

    バーバリー、バブアーに次ぐ人気爆上がり中の英国老舗ブランド、バラクータ。
    春アウターに最適の一着をビームスで発見!
    ファッショントレンドスナップ 211

    カジュアルウェア

    2025.04.02

  2. SNSで話題の「三久飯店」で絶品中華を満喫<br>今だから言える、みんな“サンキュー”!<br>マッチと町中華。【第24回】

    SNSで話題の「三久飯店」で絶品中華を満喫
    今だから言える、みんな“サンキュー”!
    マッチと町中華。【第24回】

    週末の過ごし方

    2025.03.21

  3. TUMI(トゥミ)<br>【新たな挑戦、新たな鞄。】<br>新生活の相棒を選ぶなら──

    TUMI(トゥミ)
    【新たな挑戦、新たな鞄。】
    新生活の相棒を選ぶなら──

    バッグ

    2025.04.09

  4. 俳優・町田啓太と考える、装う美学。<br>ディオールをまとう。【25年春夏】

    俳優・町田啓太と考える、装う美学。
    ディオールをまとう。【25年春夏】

    週末の過ごし方

    2025.04.09

  5. 俳優・町田啓太と考える、装う美学。<br>サンローランをまとう。【25年春夏】

    俳優・町田啓太と考える、装う美学。
    サンローランをまとう。【25年春夏】

    週末の過ごし方

    2025.04.08

紳士の雑学