紳士の雑学
夏までに理想のカラダを手に入れる 第9回
休息=ダラダラ休むは×。カラダを動かし疲れを取る?
2019.07.26
ストレッチと深呼吸で副交感神経を活発化
自律神経のバランスを取る
「最後のトレーニングは、カラダを休めることです」と語るのは、代表の林 周一郎氏。藤森氏は思った。「カラダを休めるなら、家でダラダラと寝てたいんだけど……」。そんな心の声を察したように、林氏がカラダを休めるトレーニングについて説明してくれた。
「カラダを休めるというと、ベッドに横になって安静にすることを想像するかもしれません。もちろん、体調不良のときには、それも大事ですが、健康ならばカラダを動かしたほうが、疲れが取れやすくなります」
藤森氏も「休日、1日ダラダラと過ごして、動いてないのに夕方になったらとっても疲れていることが多い」と心当たりがありそう。
しかし、カラダを動かして疲れを取るとは、具体的には何をするのだろうか。
「難しいことではありません。ストレッチと深呼吸です」と林氏。つまりは、カラダの緊張をやわらげてリラックスした状態に戻すという。もう少し詳しく言えば、交感神経の働きを抑えて、副交感神経を働かせるというわけだ。
交感神経と副交感神経は自律神経と呼ばれ、アクセルとブレーキに例えると分かりやすい。活動時や昼間は交感神経が優位に働き、安静時や夜は副交感神経が優位に働く。この二つはアクセルとブレーキなので、同時に働くことはなく、どちらかが働けばどちらは休むといった形だ。
「忙しい毎日を送っていると、交感神経と副交感神経のバランスが崩れて、つねに交感神経が優位になってしまう。これだと、神経が高ぶり眠りが浅くなることもあります。そこで、ストレッチや深呼吸によって脳をリラックスさせ、副交感神経の働きを助け、自律神経のバランスをとってあげるのです」と林氏。
グリットネーションは、「人間本来の身体機能を取り戻す」をテーマに、筋肉ではなく動作を鍛えるメソッドをグループクラスで提供するワークアウトスタジオ。目的別に日替わりでトレーニングを行っている。実は、今回のカラダを休めるトレーニングは、グループクラスには存在していない。強いて言えば、各トレーニングの最後に仕上げとして行うことがあるそうだ。
「グリットネーションでは、回復のためのトレーニングを『RECOVERY(リカバリー)』と呼んでいますが、これは自分でもできます。今回は、藤森さんにやり方をお教えしますので、自宅でも試してみてください」とのこと。
というわけで、『RECOVERY』トレーニングにチャレンジだ。
吐くことを意識すればしっかりと吸える
寝る前の深呼吸で睡眠の質を上げる
RECOVERYトレーニングでは、器具を効果的に活用する。最初に行ったのは、ストレッチポールを使い、カラダを伸ばしながらの腹式呼吸。仰向け状態で深呼吸をすると、人は自然と腹式呼吸になる。この腹式呼吸は、交感神経の働きを抑えて、副交感神経の働きを優位にすると言われている。
林氏曰く「寝る前にベッドで大の字になって、お腹を意識しながら深呼吸するだけでもリラックスできますよ。ポイントは息を吐ききること。呼吸は吸うことに意識がいきがちですが、しっかりと吐けば自然としっかり吸うことができます」とのこと。
次は、ストレッチポールに背中を沿わせて寝そべることで、背骨の歪みを矯正しながら、背中周りの筋肉をやわらげるストレッチング。筋肉の緊張がとれてリラックスできる。
そして最後は、骨盤周りを整えるストレッチ。「スイングストレッチ」という器具で、骨盤をほぐす。ちなみに、「スイングストレッチ」は、体幹の強化にもつながるという。
林氏は「交感神経と副交感神経のバランスが悪いと、睡眠の質も下がります。しっかりと寝ることは、健康の基本。ストレッチや深呼吸でリラックスできるようになると、睡眠の質の向上にもつながります」と語る。
夏服が似合うためのトレーニングは、似合うようになれば、そこで終わりではない。続けることで、夏服が似合うカラダをキープしつづけることができるのだ。そのためにも、リカバリートレーニングで疲れを取り、良い睡眠を取るのは大事なこと。夏バテの予防にもつながるだろう。
ついに、一連のトレーニングを終えた藤森氏。5月半ばから2カ月に及ぶトレーニングで、夏服は似合うようになったのか。そして、肉体と精神は、どのように変わったのか。次回、最終回はトレーニングによって変化した自分自身について語る。
Text:Tukasa Sasabayashi
Photograph:Naoko Katayama、Kosuke Koyama