特別インタビュー

忘れていたブーツの思い出。
[渋谷直角 男が憧れる、男の持ち物。]

2019.12.18

500_10.14.19_ASM023
3種類のメタリックスタッズがエッジを利かせるウエスタンブーツ。ハーネスは取りはずし可能。¥289,000/ジミー チュウ(ジミー チュウ 0120-013-700

多才でいてファッションフリーク、渋谷直角の愛用品からそのセンスを探ってみる──。

年々、ブーツを履かなくなった。ラクですぐ履けるスニーカーばかり選びがちで、ブーツは誰かの結婚パーティーのときくらい。着脱も面倒、普段履かないぶん革が固いままで擦れて痛い。ますます履かなくなる悪循環に。

それでも、年内には新しいブーツを買いたいと思っていて。というのも、先日20代の人と会ったとき、以前より痩せていたので「ダイエットしたの?」と聞いたら、「実は好きな人ができて、その人とごはんを食べに行っても緊張してぜんぜん食べられず、痩せてしまった」と。その話が(うわ、そんな時期、自分にもあったなあ!)と感動してしまったのだ。若いころはごはんにさほど興味がなくて、「おいしい」よりも「たくさん食べられる」「肉があればいい」とか、ひどくシンプルだったし、ファストフードでもチェーン店の食べ放題でも立派なデートだった。トシをとってくると、おいしい食事や変わった料理自体がデートには重要になってきて、「予約取れたから」と誘う口実にもなる。「緊張して食べられない」なんて、何年もないな……と新鮮な気持ちになったのです。忘れていた細かい気持ちのディテールを思い出させてくれた。

芋づる式に思い出したのがブーツのこと。初めて自分のお金でブーツを買ったのは高3。そのときは王道のブーツを履こうと思って、原宿と渋谷、代官山を探しまわって気に入った形のモノを買った。それ以来、そのブーツは宝物のように大切に履いたし、願書を取りに行くのも、受験も入学式も、初デートのときも。ちょっとの緊張感と、「行くぞ」と前向きな気持ちがないまぜになりながら家を出るときは、いつもブーツだったな、と思い出したのです。あのときの気持ちでまた、ブーツを履きたいと思う。若ぶりたいわけではなく、「ラク」に流されると、いろいろなことを忘れてしまう。それも寂しいよな、と思って。

<<渋谷直角 男が憧れる、男の持ち物。手袋はあなたのために。 はこちら

「アエラスタイルマガジンVOL.45 WINTER 2019」より転載

Photograph: Tetsuya Niikura(SIGNO)
Styling: Masahiro Tochigi(QUILT)
Cooperation: AWABEES

あなたへのおすすめ

トレンド記事

  1. 日本カー・オブ・ザ・イヤー。<br>輸入車の栄冠はVWの「ID. Buzz」に。<br>ポルシェもダブルタイトル獲得。

    日本カー・オブ・ザ・イヤー。
    輸入車の栄冠はVWの「ID. Buzz」に。
    ポルシェもダブルタイトル獲得。

    週末の過ごし方

    2025.12.22

  2. VALEXTRA(ヴァレクストラ)<br>【旅するバッグ。】<br>旅好きの大人たちを魅了する、新しい相棒

    VALEXTRA(ヴァレクストラ)
    【旅するバッグ。】
    旅好きの大人たちを魅了する、新しい相棒

    バッグ

    2026.01.08

  3. 【SHOWCASE】<br>Briefcase<br>至極の革はなじみも抜群、常に一緒にいたくなる。

    【SHOWCASE】
    Briefcase
    至極の革はなじみも抜群、常に一緒にいたくなる。

    バッグ

    2026.01.05

  4. アラン・デュカスが追い求めるレシピ<br>【センスの因数分解】

    アラン・デュカスが追い求めるレシピ
    【センスの因数分解】

    週末の過ごし方

    2026.01.05

  5. 世界最古のシャンパーニュメゾンを訪ねて。【前編】

    世界最古のシャンパーニュメゾンを訪ねて。【前編】

    週末の過ごし方

    2026.01.09

紳士の雑学