調べ・見立て(見立て)
快適でスタイリッシュな、ビジネス靴の正解を教えます!
編集長の「見立て」。#28
2020.02.13
ビジネスで履くべきは、レースアップのひも靴。読者の方から相談を受けたときには、シンプルにいつもそのようにお答えしています。具体的な靴の形でいうと、ストレートチップ、プレーントウ、もしくはウイングチップを履くのがおすすめ。
もっともドレッシーなのはプレーントウですが、靴のノーズに何もデザインが無く、間が持たないと感じる人もいるようです。となると、トウに一文字のアクセントがあるストレートチップがビジネス靴の最右翼となります。ウイングチップは飾りが多くてドレッシーに見えますが、狩猟用のブーツにルーツを持ち、水切りや通気性のために穴飾りが生まれた起源を考えると、プレーントウやストレートチップと比較すると、ドレス度は高くありません。モンクストラップは、名前のとおり僧侶が式典のときに履いたシューズがルーツなので、レースアップのひも靴以外で唯一ビジネスシーンでの着用を許される形となります。
今回の「調べ」の結果、上記の4タイプ(ストレートチップ、プレーントウ、ウイングチップ、モンクストラップ)を選んだ人の合計は80%。読者の皆さんの着こなしマナーに関する意識の高さに、驚かされるばかりです。
ローファーを学生服の足元に履いていた経験から、ドレッシーな靴であると思い込んでいる方もいます。しかし、英語の”Loafer”には「怠け者」の意味があるのでもわかるように、本来は「スリップオン=つっかけ」タイプのカジュアルな靴です。ポロシャツなどを着用するクールビズの足元であればビジネス靴としても履けますが、きちんとしたスーツに合わせるのはおすすめしません。通勤靴としてのスニーカーは、ファン+ウォークやスニーカー通勤の掛け声で話題にはなりましたが、それほど定着していないようです。
「通勤で使うシューズを買うときに何を最も重視しますか?」に対する回答は、「履き心地」が50%と圧倒的。いまや、快適性はビジネスウエアやシューズにおいても選ぶときの絶対条件となりました。外を歩き回る営業マンであれば、なおさらでしょう。そして、「デザイン」と回答した読者も30%に上ります。足元がスタイリッシュであれば、着こなしの格が一気にアップするもの。それに気づいているビジネスマンが多いことの証明です。
そこで、皆さんに朗報。「履き心地」はスニーカーとほぼ同様、見た目はドレッシーなストレートチップやプレーントウといった靴が、さまざまなブランドから提案されているのです。なかには、梅雨時にも履けるように撥水加工が施されていたり、靴の中の蒸れを防ぐ透湿機能があったりするシューズもあります。快適であることとスタイリッシュであることは、もはや相反するものではありません。どちらもかなう靴を履いて、フットワークの軽いビジネスマンを目指そうではありませんか。
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プロフィル
山本晃弘(やまもと・てるひろ)
AERA STYLE MAGAZINE
WEB編集長 兼 エグゼクティブエディター
「MEN’S CLUB」「GQ JAPAN」などを経て、2008年に編集長として「アエラスタイルマガジン」を創刊。ファッションやライフスタイルに関するコラムを執筆する傍ら、幅広いブランドのカタログや動画コンテンツを制作している。トークイベントで、ビジネスマンや就活生にスーツの着こなしを指南するアドバイザーとしても活動中。2019年4月にヤマモトカンパニーを設立し、現職に就任。執筆書籍に、「仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。」