特別インタビュー
伊勢丹新宿店 メンズ館
地下1階 肌着・靴下・ナイティ スタイリスト 野村直子さん
この人から買いたい、この一品
2021.07.16
接客の観察眼は、画家を目指していたから得意なのかもしれません
接客歴は20年ほどになりますが、三越伊勢丹は2018年入社なので、まだまだ新人です。これまで専門店や他の百貨店に勤めてきて、取り扱う商品も文具、食品、スポーツなど様々。肌着売り場はこちらが初めてです。商品知識も大切ですが、接客とは、いかに周りに目を配り注意を払うか。お店によっても、商品によっても対応の仕方は変わりますが、お客さまにお声掛けするタイミングは、「ここ!」というところがあるんです。この仕事は天職だと思っています。
「肌着売り場は百貨店を表す」といいます。高級ブランドのお洋服、靴やバッグはもちろん、食品からインテリアまで、お客さまはさまざまですが、肌着はどなたでも身に着けられます。どのフロアのお客さまでも肌着売り場には用がある。だからこそ肌着売り場を見れば、その百貨店の質がわかるんです。三越伊勢丹のお客さまは高品質なだけでなく、最先端のデザイン、ブランドをお求めになられるので、つねに新しいブランド、新しい商品をそろえている百貨店らしく、肌着の品ぞろえも最先端です。
お客さまの一挙手一投足を見極めて、ここぞというタイミングでお声がけするようにしています。こちらの売り場は導線が4カ所あるのですが、どこから入ってきて、どちらへ向かわれるかを見極めて、お客さまの目的を把握します。早足で入ってきたのに、途中で歩調がゆっくりになったら、きっとそこに置かれている商品が気になられたのかも、あとでご紹介してみようかしらって。シンプルなモノトーンの服装なのに、手にした肌着が色モノだったら、ほかの色柄物を提案してみようかなと思いますし、手にしたパッケージを眺めながらチラリとほかのブランドに視線がいったら、いままで愛用してきたブランドから乗り換えを考えてらっしゃるのかしらとか。
常に全体を観察しているのは、仕事中だけでなくプライベートでお友達と食事しているときもなので、「ちょっと、話し聞いてる?」と怒られることも(笑)。お店に入ると、スタッフの動きが気になってしまって、いま私なら、こう接客するのになぁ、といつも考えています。じつは、学生時代は美大生で画家志望だったんです。主に水彩で人物画を描いていました。だから全体を把握しながら、細かいところまで観察することが得意なのかもしれません。
野村さんおすすめの一品
シークのニーレングスボクサー
ロングセラーとなっている定番のロングパンツは、イセタンメンズのオウンドメディア『ISETAN MEN’S net』の記事がいまだに多くのお客さまにアクセスいただいているという大人気アイテムです。ウールのスラックスの下に穿くと、生地への負担が少なくなるのが最大のメリットなのですが、この時期、外回りの営業職の方など、移動時や着席時に膝から腿裏にかけて生地に汗がついたり、汗ジミになることを気にされますよね。ロンパンはスラックスに汗が直接つかないので、生地が傷みにくくクリースもとれにくいですし、クリーニングに出す頻度も少なくなるので経済的といえます。素材はメッシュなので汗をかいてもべたついたりしにくく、汗を吸っても乾きやすいのです。リピーターの方に聞くと、ウエストのゴムが柔らかく締め付け感がないところも履きやすさの秘密だそうです。
問/伊勢丹新宿店 03−3352−1111
Photograph:Hiroyuki Matsuzaki (INTO THE LIGHT)
Text:Yasuyuki Ikeda