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『ER緊急救命室』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #23

2022.04.28

『ER緊急救命室』<br>いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #23

アメリカでは1994年に放送が開始され、約15年ものあいだ愛されつづけた長寿ドラマ『ER』。日本でもNHKにて放送されていたことから、海外ドラマに縁がない人でも名前くらいは聞いたことがあるのではないだろうか。

『ジュラシック・パーク』などで知られるマイケル・クライトンが、自らの医学生時代のエピソードをつづった『五人のカルテ』が原作。製作総指揮も務める。実際に病院で勤務した経験を生かし、見事にリアルな医療現場を描いた。本作がその後のドラマに与えた影響は計り知れず、数多くの逸話を持つ。

舞台となるシカゴのカウンティ総合病院は、ロサンゼルス郊外の廃院となった病院を買い取り、そこにER(緊急救命室)を再現した。そして実際にERに勤務する医師が演技指導し、エキストラには実際の看護師も参加。よりリアルで、スピード感のある医療現場を作り出すことができた。

救急車から患者を下ろし、処置室に運ばれるまでの医師たちの壮絶なやり取りが印象的な本作。狭い病院の中を駆け巡るような臨場感で撮影できたのは、カメラマン自身にカメラを装着し演者たちを追ったから。当時の機材はまだ軽量化された高画質のカメラなどではなく、その重さは30キロにも及ぶものだったとか。

そんな大変な撮影環境のもと、シーズン4の第1話ではドラマ史に残る前代未聞の生放送に挑戦。観ているこちら側にまで伝わってくるほど緊迫した状況のなかで、大きなトラブルもなく“偉業”を成し遂げた(一部画面がひずむなど機材トラブルと思われる部分もあったが、意図的だったのかもしれない……)。

場面のつなぎに使用されたのは、普段医師たちが休むロッカールームに備え付けられた定点カメラからの映像。転換をスムーズにするための苦肉の策だったのかもしれないが、普段は忙しく駆け回る場面が多かったERなだけに新鮮さが際立ち、伝説の回を彩る脱帽の演出となった。

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