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『ラヴ、デス&ロボット』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #29

2022.08.18

『ラヴ、デス&ロボット』<br>いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #29

アニメーションの本気を見る

『目撃者』では、向かいのマンションで起きた事件を目撃してしまったストリッパーの女性が、犯人に追われサイバーパンクな街を駆け巡る。3DCGの上に落書きのような2Dペイントを重ね、今まで観たこともない世界へ連れて行ってくれる。物語の最後には、逃れられない運命に気づき、もう一度観返したくなる作品だ。

『彼女の声』では、目もくらむほど美しいその映像は実写なのではないか?と目を疑うほどリアルな3DCG作品。セリフは一切ないものの、ストーリーを理解するに足る情報が細部に仕込まれている。水面の描写、水滴ひとつにしても、すべてが本物の光をまとっているかのような輝きを放つ。すごいものを観てしまった……と思うに違いない。

ブラックユーモアたっぷりなコメディーも豊富。引っ越し先の冷蔵庫に文明が生まれていた『氷河時代』、ヒトラーが違う死を迎えていたら歴史はどう変わっていたか?という仮想現実を教えてくれるアプリの話『歴史改変』、研究者が知能を持つヨーグルトを生み出したら、世界を乗っ取られた話『ヨーグルトの世界征服』、人間の世界が崩壊し、ロボットたちがその後の地球を観光地のように巡る『ロボット・トリオ』など、さくっと観られる作品もそろっている。

アニメ作品といっても、特撮のように実写を組み込み制作されたものもある。『小さな黙示録』では、ミニチュアのような世界で、ふとしたきっかけで人々が「ゾンビ化」した世界を描いた。あまりの展開の早さに、何度も観てしまう妙な中毒性がある。

本作はNetflixによる、いまだかつてない実験的な試みを採り入れた。それは視聴者によって再生順を意図的に変えているというもの。4つのパターンが存在しており、なんらかの視聴データをもとに選定しているのだとか。サブスクリプションという特性を生かし、今後どのように反映されてゆくのか楽しみだ。

アニメのオムニバス作品といえば80年代を代表する『ヘヴィ・メタル』や日本人クリエーターを中心に制作された『アニマトリックス』などが挙げられるが、その時代のハイエンドな技術を駆使した「歴史の教科書」と言えるだろう。

海外ドラマに分類していいものなのか疑問だが……、世界の“現在”を知ることができる『ラヴ、デス&ロボット』をぜひ体感してほしい。アニメーターでなくとも必ず刺激を受けてしまうに違いない。Netflixにて独占配信中。

<<過去の「いま観るべき、おしゃれな海外ドラマ」はこちら

Text:Jun Ayukawa
Illustration:Mai Endo

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