接待と手土産
「招福楼」のえぞ鮑やわらか煮
すべて実食!自慢の手土産 #96
2022.08.23
生の鮑はコリコリとした食感だが、煮ると驚くほど柔らかくなり、かむほどに味わいが増していく。美しく飾り包丁が入っているのは、子どもや年配の人も食べやすく、誰にでも楽しんでもらいたいという配慮から。ゲストに寄り添う心配りやもてなしは、招福楼が大切にしてきたことだ。
上質な鮑は、自身から出る出汁(だし)がいい味わいを生むため、それを上手に生かしながら、別に取った出汁やしょうゆなどを加えて煮含める。私は鮑と一緒に袋に入った煮汁がどうしても無駄にできず、その煮汁に水、少々の塩と薄口しょうゆを加えて、ご飯を炊く。うま味をたっぷりと吸った熱々のご飯に、薄切りにした鮑を後載せした鮑ご飯は最高のご馳走だ。日本人のDNAに刻み込まれた至福の味わいと言うと、少々大げさに聞こえるかもしれないが、招福楼の商品を食べるたびに、この味は絶対に残してほしいと切に願いたくなる。
現在は、四代目中村成実さんが店を守るが、伝統だけに執着はせず、時代の流れに逆らうことなく、よいと思ったものは採り入れる。通販も、自分たちの味を多くの人に知ってもらえる機会と捉えて始めたそうだ。いつかは本店にと夢を見つつ、日本料理の神髄が感じられる逸品を大切な人に贈ってみてはいかがだろう。
招福楼
滋賀県東近江市八日市本町8-11
価格/えぞ鮑やわらか煮(3個) 6480円 ※税込み、送料込み
問/0748-22-0003
https://shofukuro.jp/
Edit & Text:Yuka Kumano