週末の過ごし方
飛距離&勝負強さ。女子ゴルフ新時代を感じさせた
19歳・櫻井心那、20歳・桑木志帆の躍動!
2023.07.11
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女子ゴルフの国内ツアーは今週、今季初のオープンウィークとなった。前週は全米女子オープンがカリフォルニア州のペブルビーチ・リンクス行われ、大会史上最多となる日本人選手22人が出場して11人が予選を通過した。そして、24歳の畑岡奈紗が4位、23歳の古江彩佳が6位に入った。あらためて日本勢のレベルアップを示した形だが、国内では次世代を担うニューヒロインが誕生している。2週前の資生堂レディスでは、19歳の櫻井心那がツアー初優勝。ドライバーショットの飛距離を生かし、短いクラブでピンを狙うスタイルがはまった。櫻井とのプレーオフで敗れた20歳の桑木志帆も、同様に力強さと巧みさを見せつけた。2人の魅力とは。
19歳と20歳が躍動し、見応えあるプレーオフだった。18番パー4。風はフォローだったが、櫻井はフェアウェー中央に280ヤード超のドライバーショットを打った。残り約80ヤードは58度ウェッジでピン上2メートル半につけた。桑木の第1打はドライバーで260ヤード超。残り約100ヤードで放った第2打は、ピン下6メートル地点に止まった。結果はバーディーを奪った櫻井の勝利。櫻井は笑顔、桑木は泣き顔になった。
最終日。2人は最終組前の組で18ホールも共にプレーした。ともにロングドライブを放ち、ショートアイアン、ウェッジでピンを狙うスタイル。桑木は16番、櫻井は17番、18番でバーディーを奪う勝負強さを見せた。それは、同組で回った26歳の永井花奈にインスタグラムで「アグレッシブにピンを狙う2人に完敗でした。2人より飛ばない私は先に打ってベタっとつけて、プレッシャーをかけないといけないのに」と言わしめるほどだった。
桑木と櫻井は1学年違いで、そろって難関のプロテストに一発合格している。桑木はコロナ禍で21年春6月に延期された20年度最終テストで、櫻井は高3で受験した21年11月に実施の21年度最終テストを突破した。だが、同世代には強者が多くいる。桑木の同期では、岩井千怜が既に4勝、岩井明愛が1勝。櫻井の同期では、川崎春花がメジャーの日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯を含めて2勝を飾り、尾関彩美悠も1勝している。
文字どおり、追う立場の2人が躍動した。櫻井は「小さいころから飛距離に困ったことはないのですが、今年に入ってめっちゃ飛ぶようになりました。理由はわかりません。よく食べるからでしょうか(笑)」「ゴルフクラブのことは詳しくありません。バッグに入れ替えられても気づかないと思います」と話すなど、強さとおおらかさがある。一方、幼少期から黄色ボールを好んで使う桑木は、コーチを付けずに自分でショットを修正できる能力がある。オフには短期間でドローからフェードに球筋を変え、今季はそのスタイルでプレー。今大会ではドライバーの不調に悩んではいたが、キレ味のあるアイアンショットを武器に優勝まで「あと1歩」だった。
今季は圧倒的な強さを見せている山下を軸に、申、双子の岩井姉妹が優勝争いに加わる試合が多かった。だが、この4強にスケールの大きい櫻井、桑木に対抗してくる可能性を感じさせた。
渋野日向子、畑岡奈紗、勝 みなみ、原 英莉花ら「黄金世代」(1998年度生まれ)が、最も強さを発揮したのも20歳前後。桑木、岩井姉妹ら02年度生まれは「エメラルド世代」、櫻井、川崎、尾関ら03年度生まれは「ダイヤモンド世代」と呼ばれつつあるなか、女子ゴルフは“新時代”に入ったと言えそうだ。