特別インタビュー
板垣李光人、魅惑の混沌都市へ。
多様な感性が融合する、 バンコクを呼吸する[前編]
2025.11.10
二百数十年の歴史を刻むバンコク。そのコントラストの激しい「新旧」を吸い込み、気鋭の俳優は何を感じたか?
板垣李光人に誘われ、魅惑の混沌都市へと没入する──。
タイの母なる大河、チャオプラヤー川があふれんばかりに高潮で満ちるある午後、板垣李光人はバンコクへと降り立った。空港に着いたその足で、わずかなプライベート時間を削って向かったのは美術館。俳優の枠だけにとどまらず、筆を手にしてアーティスト活動を行う彼らしいアクションだった。
「新たな土地に向かうときは、まず美術館やアートスペースを探すのが習慣となっています。初めてのタイでは、ラーマ9世前国王と、タイ近代美術の父として称賛されるイタリア人建築家、シン・ピーラシー氏をたたえるバンコク現代美術館を選びました。5階建てで広く見応えがあり、タイの新旧が一望できます。こうした美術施設ばかりでなく街全体がアートだと聞いているので、とても楽しみです」
映画、ドラマ出演と、誰の目にも多忙は明らかな活躍ぶりだが、若く吸収力のある時間を無駄にしない。直前には韓国を訪ねたばかりという。
「旅は〝日常〟を感じに行くものと捉えています。その土地ならではの暮らし向きと人々を知る、アートやカルチャーに触れる体験そのものが旅行で、自分にとっての暮らしの一部です。また、移動も含めて旅。子どもの頃と違うのは飛行機の時間が好きになったこと。空の上の限られた空間で、いかに〝無〟になるかが重要。長時間フライトも好都合で、情報過多な日々を手放すリセットの場なのです」
インタビュー後編に続く[近日公開予定]>>
板垣李光人(いたがき・りひと)
2012年に俳優デビューし、映画『八犬伝』
『はたらく細胞』『陰陽師0』で第48回日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞。カンテレ・フジテレビ系ドラマ『秘密~THE TOP SECRET~』ではゴールデン帯連続ドラマ初主演を果たす。現在放送中のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』、公開中の映画『ミーツ・ザ・ワールド』のほか、映画『ペリリュー -楽園のゲルニカ- 』(声の出演)が12月5日(金)に公開予定。
Photograph: Yuji Kawata(Riverta.inc)
Styling: Kohei Kubo(QUILT)
Hair & Make-up: Jimi Fujiu
Text & Coordinate: Satsuki Izumi