スーツ
森岡 弘が提案する、ネクストステージの装い。
New Protocol Style VOL.01
2025.11.19
スタイリスト森岡 弘氏が語る、現代人のため服装講座。第1回はファッションではなくスタイルを構築するための正しいスーツの選び方と着方についてお話しします。
生地が佇(たたず)まいを作る
上質な生地は光沢感があり、仕立て映えもするため着る人の格を上げてくれる。若いビジネスパーソンならスーパー100〜120を。経営者や役職者なら120〜150あたりを選びたい。
スーツ¥173,800、シャツ¥11,000、チーフ¥1,650/すべて麻布テーラー(麻布テーラー プレスルーム 03-6273-1840)、ネクタイ¥44,000/マリネッラ(マリネッラ ナポリ 東京ミッドタウン店 03-5413-7651)
意識の高さは 細部に宿る。
ノーネクタイが当たり前になった今の時代、男のスタイルを見直す時期に来ていると感じています。
多くの経営者や政治家、大学教授の方々のスタイリングに携わってきましたが、国際都市である東京でさえ、世界基準の装いをされている人は決して多くない。私個人の「思い」としては、国際的なマナーを理解したスタイルはビジネスパーソンとしてだけでなく、ひとりの紳士として必要な条件だと思うのです。
今日は誰とどんな関係性で会うのか、その意識こそが服選びを左右します。初めて会う方なのか、何度目の方なのか。それだけでも服選びの正解は異なるはずです。服装は自分をプロデュースするための大切な要素なのですから。
襟付きの服かどうか、ネクタイをしているかどうかで、その人の価値もステイタスも変わる国があります。それも文化の違いとして理解したうえで、装いは人となりを映す鏡だと意識すべきと思うのです。日本人としてグローバルに通用するスーツの基本の装いを学び、そこから意識の高い自分らしさのあるアレンジへと進化させていくことが理想的です。
服を選び、着る、その意識の高さは細部に表れます。大切にすべきは「仕立て」。平面の布を立体的に仕上げるには技術力が必要です。次に「生地」そして「細部」。目立つよりも落ち着いた色柄の上質な素材を選ぶことが肝心です。
今回は俳優の大野拓朗さんにモデルをお願いしました。上昇志向のある30代半ばの男性像を演じるつもりで「今の自分に必要な服」という意識で着こなしてくれました。
かっこいい服より、自分のために必要な服を選んで、ファッションを超えたあなただけのスタイルづくりを意識していただきたいと思います。
ドットタイに再注目
紺無地タイよりも必携なのは小粒の水玉。どんなシーンでも通用するうえ、男のエレガンスを語ってくれる。
袖口のシャツが印象を作る
背丈に合わせてシャツ袖を1〜2cmのぞかせることが、正しいサイズを着ていることを示す。時計はカフス内に収めて。
クリースが清潔感を生む
クリースが整ったパンツは、メンテナンスが行き届いている証し。丁寧な暮らしぶりと知的な印象を与えてくれる。
正しい着丈が余裕を演出
着丈が短いスーツはファッションスーツだ。ビジネス&フォーマルなスーツはヒップが隠れる着丈が正式と心得たい。
足元に美意識が見える
靴は必ず磨いておく。履き脱ぎの際はひもを外すこと。かかとの減りにも注意して。パンツの裾幅は19〜21cmが基準。
スーツ¥297,000、シャツ¥44,000/ともにザ・クロークルーム(ザ・クロークルーム東京 03-6263-9975)、チーフ¥1,650/麻布テーラー(麻布テーラー プレスルーム 03-6273-1840)、ネクタイ¥44,000/マリネッラ(マリネッラ ナポリ 東京ミッドタウン店 03-5413-7651)、靴¥159,500/クロケット&ジョーンズ(トレーディングポスト 青山本店 03-5474-8725)
森岡 弘(もりおか·ひろし)
婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社後、『メ ンズクラブ』編集部に。スタイリストとして1996 年に独立後、自身の会社「グローブ」を設立。ファッ ションディレクターとして、雑誌や広告、企業との コラボレーションなど幅広く活躍中。政治家、企業 家、キャスターらのスタイリングにも定評がある。
Fashion Direction: Hiroshi Morioka(GLOVE)
Photograph: Yoshihiro Kawaguchi(STOIQUE)
Hair & Make-up: Shuichi Araki(Swell)
Text: Yasuyuki Ikeda