特別インタビュー
星のや富士にて、自身を顧みて、未来を見据える
町田啓太と過ごす、豊かな森の時間。[後編]
2025.12.15
「約3カ月の練習期間で世界的ダンサーになってくれという無茶ぶりでしたから(笑)。ギターももちろん大変だったけれど、道具を使うわけではなく、身体を動かすものは、半端なく難しかったです」
合間を見てはダンスの先生のもとに通ったまる3カ月は、人生始まって以来の一大試練だった。
「もう毎日練習でひりついていました。ひとりだと基礎練習しかできないし、踊るスペースも必要だから簡単じゃなかった。だから空いている時間を見つけてはスタジオに入って先生たちやパートナーと練習して身体に叩き込んだんです。トップレベルの先生たちが『町田をどうしよう』と、グループラインで情報交換したりして。身体のケアのために医療の先生にもベタで付いてもらって周りに助けられながらなんとか乗り越えたんです」
町田は、いま改めてこう思う。
「一本一本に長い期間全力を注いでみて、その重みを感じるようになりました。定年が65歳と考えるとあと30年。頑張って年に2本やったとしても、60本しかできないんですよ。俳優だからもう少し先までできたとしても限りはあり、作品との出合いを本当に大切にしていかないと、と思っています」
撮影翌日の早朝、河口湖までひとり散歩をしてきたという町田。Tシャツ姿の身体がひと回り、いやふた回りほど大きくなっていることに改めて気づかされた。新作に向けた身体作りの成果だった。
この2年足らずの間に役者としての領域を意欲的に広げてきた町田啓太。過去を踏みしめつつ進むその歩みすべては、着実に未来へと連なっていく。
町田啓太(まちだ・けいた)
1990年生まれ。俳優、劇団EXILEメンバー。映画『チェリまほTHE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』『太陽とボレロ』『ミステリと言う勿れ』、テレビドラマ『テッパチ!』(フジテレビ系)、『ダメな男じゃダメですか?』(テレビ東京)、『unknown』(テレビ朝日系)、『漫画家イエナガの複雑社会を超定義』(NHK)など話題作に多数出演。7月にはNetflixシリーズ『グラスハート』、12月にはNetflix映画『10DANCE』(W主演)など、2025年も注目作がめじろ押し。
ジャケット¥696,300、パンツ¥160,600、カットソー¥146,300、ベルト¥69,300、シューズ¥113,300、バッグ¥314,600/すべてトッズ(トッズ・ジャパン 0120-102-578)、時計¥5,225,000/オーデマピゲ(オーデマ ピゲ ジャパン03-6830-0000)
Photograph: Yuji Kawata(Riverta Inc.)
Styling: Eiji Ishikawa(TABLE ROCK.STUDIO)
Hair & Make-up: KOHEY(HAKU)
Text: Haruo Isshi, Haruhiko Ito(Office Cars)