特別インタビュー
リモートワークで「メリハリをつける」
毎朝3分の着替え。
2021.08.13

テレワークでずっと自宅にいると「オン・オフのメリハリがつきにくい」ことありませんか? 調査では、64%の方がここにストレスを感じているそうです(※1)。起きたらすぐ、スウェットのままスマホを開けてメール・チェック。Zoom会議の前に、慌ててシャツに着替えて……。
毎朝チューニングするのは大変です。でも、武道のメソッドを応用すれば、「たった3分」着替えの時間だけで「オン・オフのメリハリをつける」ことが可能です! それだけでなく、いままで以上の集中力が発揮できます。
マーク・ザッカーバーグが、毎日同じTシャツを着ることで「決断に使うエネルギー」を節約しているという話は有名です。たった数分でも「服を着る」ことが、いかにメンタルに影響があるかを物語るエピソードではないでしょうか。ザッカーバーグはその影響をカットしましたが、古来武士は〈集中できる心身〉をつくるために活用していたのです。
日本では「衣」に魂が宿るとされてきました。一年のうち、最も重要な宮中祭祀である「新嘗祭」(※2)。その前日に行われる天皇の鎮魂祭「みたまふり」という神事では、魂を揺り動かして新たな生命力を得るために、天皇の「衣」を左右に10回振ります。諸説ありますが、「衣」を振ることで、心身のノイズを祓い、活力を増幅する儀礼と考えられています。
武道における「衣」の扱いには、この儀礼の本質が残っています。武道は「礼法」として「衣」の着つけから畳み方まで定めていますが、大本に〈心身の情報を整理して、活性化する〉という古来日本のセオリーがあります。敵が差し迫っていて思い乱れた状態でも「衣」をまとう時間を通して、回復できる。逆に挽回しない心身なら負けるばかり。だから、何があっても毎朝淡々と「衣」を通して有事でも〈集中できる心身〉をつくっていたのです。
武道メソッドでは、服に自分を「合わせる」と〈集中できる心身〉になれるアイテムを選びます。ポイントは3つ。1つ目は《自然素材》。自然に呼吸を合わせて力を発揮するためです。2つ目は《フォルムと縫製》。骨盤を中心に球体状に体が膨らむイメージができて可動が円滑になるフォルム・縫製が正解です。3つ目は《しっくりくるもの》。物づくりのルーツに共感できて、フィーリングが合うものを。妥協せずに選んだなら、着替えの3分だけで集中力は変わるはずです。
(※1)ネット調査/朝日新聞デジタル。昨年12月、ネット調査会社クロス・マーケティングを通じて調査実施。登録モニターのうちテレワークを経験した20~50代の男女1000人が回答。
(※2)新嘗祭(にいなめさい):毎年の新穀を奉り、その後に天皇が食す儀式。原形は弥生時代にまでさかのぼるとも言われる。
掲載した商品はすべて税込み価格です。
Photograph: Yuji Kawata(Riverta Inc.)
Styling: Eiji Ishikawa(TABLE ROCK.STUDIO)
Text: Sayaka Umezawa (KAFUN INC. /MOIKA GALLERY)