お酒
ジンベースカクテルの進化系
奥深いジンの魅力を探る 第6回
2020.07.03
ジンがカクテルのベースに向いていることは、これまでの連載で充分おわかりいただけたと思うが、最終章では、もともとジンをベースにしていたものから、ウオッカベースをジンに変えたものまで、今、注目されているカクテル3点をジェーニャさんに作ってもらった。
老舗リストランテで生まれたネグローニ
このカクテルの発祥は、フィレンツェの老舗リストランテ「カソーニ」の常連客、カミーロ・ネグローニ伯爵がアペリティフとして愛飲していたカクテル。同店のバーテンダーが、許可を得て1962年に発表した際、同時に美食家として高名であった伯爵の名を冠する事を許された。発祥の地と言われているフィレンツェのレストランでは、同じ材料を等分量でシェイクしていたとか。
嗜好がドライ寄りになった昨今では、ドライ・ジン1/2、カンパリ1/4、スウィート・ベルモット1/4を氷を入れたオールドファッションドグラスに注ぎステアするのが一般だ。ジェーニャさんのそれは、敢えてレトロなレシピを踏襲したもので、それがかえって新しさを生んでいる。
■古くて新しいネグローニ
<材料/1杯分>
ドライジン 30ml
ヴェルモット 30ml
チナール※ 30ml
ガーニッシュ:オレンジの皮
※ チナールとは、ワインベースのアーティチョーク使ったリキュール。手に入らなければ、カンパリでもOK。
<作り方>
氷を入れてたオールドファッショングラスもドライジン、ヴェルモット、チナールを注いでステア。オレンジの皮を飾る。
ブラッディ・メアリーのジンバージョン、レッドスナッパーで爽やかに
ブラッディ・メアリー とは、ウォッカをベースのトマトジュースを用いたカクテルで、ウォッカをジンに替えたバージョンをレッドスナッパーと呼ぶ。
血塗られたメアリーや、魚の名前の赤いフエダイなど、ちょっと怖いネーミングだが、トマトジュースたっぷりの爽やかな味わいは、休日のブランチなどにもぴったりだ。ジンベースなので、アルコール濃度を容易に調節できる点もいい。
■レッドスナッパードライジン
<材料/1杯分>
ドライ・ジン
トマトジュース
タバスコ
ウスターソース
レモンジュース
ガーニッシュ:黒コショウ、セロリ、レモンスライス
<作り方>
グラスに氷を入れてステアし、ドライジン適量を注ぐ。トマトジュースでグラスを満たし、タバスコ、ウスターソース、レモン汁少々でアクセントをつけ、レモンスライスを飾る。
カクテルの王様・マティーニのアレンジ版
ドライジンにドライ・ベルモットを加えたカクテル、「マティーニ」と言えば、カクテルの王様。なぜ王様と言われるのかは、歴史的な著名人が愛し、名作映画にも度々登場していたからだろう。
イギリスの元首相チャーチルや文豪ヘミングウェイがこよなく愛したと言われるなど、有名人をあげれば枚挙にいとまがない。007のジェームズボンドが「ウォッカマティーニを。ステアせずにシェイクで」というオーダーをすることでも有名。
ドライ・ベルモットとは、ハーブを加えた白ワインのことで、チンザノが有名。ここではエスプレッソ風味のアレンジマティーニを教えてもらった。食後に最適な1杯。
■エスプレッソマティーニ
<材料/1杯分>
ドライ・ジン 30ml
カルーア 15ml
エスプレッソ30ml
シロップ 5ml
ガーニッシュ:コーヒー豆
<作り方>
コーヒー豆以外のすべての材料をシェーカーに入れてとろりとするまでシェイクする。冷やしたグラスに注ぎ、コーヒー豆を浮かべる。
Text: Hiroko Komatsu
Photograph: Sho Ueda