腕時計
バーゼルワールド2019 リポート
シャネル
2019.07.24
1月のジュネーブサロン(SIHH)に続いて、バーゼルワールド2019がスイスで3月21日~26日に開催された。時計はもちろん、宝飾系ブランドも新作を披露する大規模な国際展示会だが、今年はオメガなどが属するスウォッチグループが不参加。その影響もあって出展社数は減少したが、会場は例年同様の活気が感じられた。スウォッチグループはブランド独自に新作を発表しているので、それらも含めて注目モデルをピックアップする。
本質を変えることなく、より研ぎ澄まされた「J12」
2000年にブラックセラミックでデビューした「J12 」は世界的ベストセラーとなり、たちまちシャネルのアイコンウオッチに上り詰めた。今年は誕生20年目という節目でフルモデルチェンジに等しいリニューアルが行われたのだが、すぐにわかる変更点は少ない。「何も変えずに、すべてを変える」をコンセプトとしているからだ。
外観から紹介すると、分経過を計測できる回転ベゼルの幅がやや薄くなり、ダイヤルフェイスは拡大。その一方で、ベゼル外側の刻みを細かくしたので、より操作しやすくなった。
ダイヤルでは、内周のレールウェイトラック(線路状目盛り)の各時間に対応したブロックを5分ごとに反転することで、明確に12時間を認識できるスタイルに。時間のインデックスをケースと同じセラミックのアプライド(植え込み)にしたことが実は大きな変化だが、これまでの「シャネルフォント」を完全に継承しているので、所有している人以外は気づきにくい。
全体のおよそ7割を新しくしたとされるが、ブレスレットのコマのプロポーションも含めて、神経質なほど注意深く、デリケートに手が加えられているのである。このように絶妙なブラッシュアップによって、よりスマートに、スタイリッシュに研ぎ澄まされた印象を与える。本質をいささかも変えることなく、現代の感覚を巧妙に採り入れることで、明日という未来を開いたといえるだろう。
時計を裏返せば、この表現が決して大げさではないことがわかる。シャネルが株を取得したムーブメントメーカー、ケニッシ(KENISSI)社製の新しい自動巻き「キャリバー 12.1」が見られるからだ(トップ画像・右参照)。ローターが中空のリングにタングステン製の重りを重ねた独特のデザインになっているため、心臓部であるテンプの動きなどが見やすい。約70時間のロングパワーなので、2日間くらい着用しなくても止まる心配はない。COSC(スイス公式クロノメーター検定協会)が精度認定したクロノメーターで、5年間の保証付きも高く評価できる。
ブラックにホワイト、インデックスにダイヤモンドセッティングなどのバリエーションがあるが、なかでも「J12 ファントム」が秀逸。オールブラックとオールホワイトの2タイプで、それぞれ38mmと33mmを展開。インデックスは前述したように立体的なアプライドであり、陽光によって陰影が生まれるので、どちらも視認性は損なわれていない。
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問/シャネル(カスタマーケア)0120-525-519
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。
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