紳士の雑学

スーツに靴下を履いていないことは恥である
[男の服飾モノ語り]

2017.12.01(最終更新:2020.05.14)

写真・図版 山本晃弘

写真・図版
靴¥76,000/クロケット&ジョーンズ(エストネーション 03-5159-7800)、パンツ¥120,000(スーツ価格)/ブリッラ ペル イル グスト(ビームス ハウス 丸の内 03-5220-8686)、その他はスタイリスト私物

「靴下をどうするべきか」。ビジネスマンの読者からよく聞かれる質問のひとつです。おそらく皆さんが問うているのは、色のことでしょう。ビジネススーツで白い靴下がNGであることは、さすがにご存じかもしれません。また、ブランドのワンポイントが入ったスポーツソックスがNGであることも、もはや常識でしょう。

では、何色の靴下が正解なのか。ビジネスの着こなしの大原則が「目立たぬこと」であると考えると、選ぶ色は自然と決まってきます。ネイビースーツにはネイビーの靴下、グレースーツにはグレーの靴下。それも、より目立たぬように、ダークネイビーやダークグレーを選ぶのが正解です。スーツの色が黒に近いダークネイビーやチャコールグレーの場合には、黒の靴下も正解の範囲。

スーツではなくてジャケットとパンツのスタイルのときにも、パンツの色に合わせます。それによって、靴下は悪目立ちすることなく、どういったものを履いているかをビジネスの相手に感じさせることがありません。

カラフルな靴下で足元のワンポイントにするのは、上級者に任せておきましょう。つま先やかかとだけ色が使われている靴下も、選んではいけません。接待で座敷に上がったとたん、クライアントから余計な注目を集めることになってしまうからです。

色と同じくらいに重要なのが、靴下の長さ。ビジネスのときには、長さがひざ下まであるハイソックスを選ばなければいけません。こうした長さの紳士用ハイソックスは、筒状の形状からホーズと呼び、靴下専門店や百貨店で購入することができます。

それでも、このアドバイスをすると、多くのビジネスマンが驚きます。そして「夏も同じですか?」と尋ねられます。夏も冬も、ハイソックスを履くのはビジネスの着こなしのルールのなかでも基本中の基本。靴下は防寒のために履くものではありません。スーツで足を組んだ瞬間に、すねが見えてしまうこと、あるいはすね毛が見えてしまうことは、この上ななく恥ずかしく下品なことと心得てください。それを防ぐために、靴下はあるのです。

最近では、セレクトショップや百貨店の紳士服売り場の店員さんが、夏冬問わず、スーツ姿にもかかわらず、素足にビジネスシューズを履いているのを見かけます。厳密に言えば、彼らはインソールソックスと呼ばれる靴の中に隠れてしまう靴下を履いてはいるようです。どうやら、着こなしにヌケ感を出すために足首を見せるという意図と察します。ヨーロッパで行われるコレクションやファッションの展示会で、しゃれ者たちが同様の着こなしをしていたことが流行の元になったのでしょう。

スーツをおしゃれに着る新流儀として既に認定された感もありますが、読者であるあなたが、ファッション関係者でないビジネスマンであるとしたら、まねをすることはおすすめしません。インソールソックスで足首を見せる着こなしでは、まずそこに目が行ってしまうもの。そうした「私はおしゃれです」という主張や「ヌケ感」は、ビジネスシーンでは不要だと考えるからです。

「ビジネスマンは、ダークネイビーかダークグレーのハイソックスを履くべし」。これが着こなしルール。まったく迷う必要はありません。

プロフィル
山本晃弘(やまもと・てるひろ)AERA STYLE MAGAZINE編集長
「MEN’S CLUB」「GQ JAPAN」などを経て、2008年に朝日新聞出版の設立に参加。同年、編集長として「アエラスタイルマガジン」をスタートさせる。新聞やWEBなどでファッションとライフスタイルに関するコラムを執筆する傍ら、幅広いブランドのカタログや動画コンテンツの制作を行う。トークイベントで、ビジネスマンや就活生にスーツの着こなしを指南するアドバイザーとしても活動中。

掲載した商品はすべて税抜き価格です。

<<マスターピース、男をつくるもの。

  スーツのポケットに入れていいのは、チーフだけ。>>

Photograph: Sunao Ohmori (TABLE ROCK.INC)
Styling: Takahisa Igarashi

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