旅と暮らし

気分はタイムスリップ!
趣満載のリノベーションホテル4選

2017.08.01

写真・図版 大石智子

長く人々に慕われている建物は、発するエネルギーがひと味違う。今回は歴史のある建物をリノベーションして誕生したホテル4軒を紹介。これらのホテルステイは、歴史をたどる建築探訪ともなる。

AMANGALLA(アマンガラ)

スリランカ/ゴール
ロビーに入った瞬間に感動した、私的ベストAMAN

写真・図版
(c) Aman

スリランカ南部の港町であるゴールの旧市街は、世界遺産にも登録されている要塞都市。街のそこかしこにイギリス植民地時代の面影が残るこの地において、“白亜の貴婦人”と呼ばれ親しまれているのが「アマンガラ」の建物だ。

もとは150年以上の歴史を有するスリランカ最古のホテル「ニューオリエンタルホテル」だった。当時のオーナーはネスタさんというイギリス人女性。ホテルで生まれ、以来ずっと我が家としてホテルとスタッフを愛し、90歳でこの世を去った。彼女と交流のあったアマン創業者、エイドリアン・ゼッカ氏がその意思を受け継ぎオープンさせたのが「アマンガラ」だ。

写真・図版
(c) Aman

コロニアル調のエレガントなたたずまいと同様に、ロビーも見事にクラシック。そしてどこか温かで懐かしい空気感を醸す。ロビー、部屋の浴室、スパの廊下、プールサイドの木々の下、このホテルに差し込む光はすべて美しい。そうそう、スパのBGMがヒーリング ミュージックではなく明るいジャズだったのがよかった。古きよき趣はありつつも小粋。再訪を夢見るホテルのひとつだ。

写真・図版
(c) Aman

<問い合わせ先>
アマン共通
日本語フリーダイヤル 0120-951-125(10:00~19:00)
www.amangalla.com

THE SINGULAR PATAGONIA(ザ シンギュラー パタゴニア)

チリ/プエルトナタレス
100年以上前にここで働いていた人々に思いを馳せる

写真・図版

「ザ シンギュラー パタゴニア」は、20世紀初頭の低温貯蔵庫を改装し2011年に誕生した。ホテルに到着すると、外観からしてホテルらしからぬたたずまいだ。赤レンガの外壁は100年以上の時を感じさせる朽ち加減があり、最上階が3階という低層で横に長い構造。貨物を運ぶようなエレベーターに乗り込み館内に入ると、海辺の貯蔵庫の趣をいっそう感じることとなる。

写真・図版

客室までの廊下には熱加工のための古い機械が並び、そのノスタルジックな光景に旅路の疲れも報われた。はしごや太い配管が連なり、一輪車や計測器、温度計は使ったままのような配置。かつてこの地に物資を運んだ船や、工場で働いていた人たちのことを容易に想像できるレイアウトなのだ。

ダイニングやラウンジにも当時のしつらえが可能な限り残されている。世界でもまれにみるこのユニークな空間に身を置いて、ただぼうっとチリワインを飲めば、時が経つのもあっという間だった。

横幅6mの窓を有する客室では、ウルティマ・エスペランサのフィヨルドとアンデス山脈の遠景をベッドに寝たまま眺めることもできる。歴史が紡ぐ趣と大自然の雄大さを兼ね備えたパタゴニアのホテルは、遠い地でこそ味わえる非日常感にあふれていた。

写真・図版

<問い合わせ先>
ザ・リーティングホテルズ・オブ・ザ・ワールド(ザ シンギュラー パタゴニア加盟先)
03-5551-0101
https://thesingular.com/hotel/patagonia

Palacio Duhau - Park Hyatt Buenos Aires(パラシオ ドゥハウ パーク ハイアット ブエノスアイレス)

アルゼンチン/ブエノスアイレス
南米の大都市のなかで心を癒やしてくれる、麗しきオアシス

写真・図版

ホテルは閑静な住宅街や大使館のあるエリアに立地する。もとは1934年にフランス人建築家がある一家のために設計した邸宅で、2006年に改装されホテルとしてオープンした。ベル・エポック様式の白亜の邸宅は4400もの庭園を有し、樹齢を重ねた木々の緑がゲストを癒やしてくれる。焼きたてのクロワッサンがおいしい朝食は、ぜひこの庭園で食べていただきたい。

写真・図版

館内でとびきり格好いい場所のひとつが、「The Oak Bar」だ。バーの壁やドアは17世紀フランスのノルマンディで城を飾るために用いられたオークの板で作られており、いまも精巧に施された彫刻が残っている。昼から深夜まで営業しているので、ディナーの前後にゆったり腰掛けて一杯飲むのに最高。ただそこにいるだけで、自分が映画のなかにいるような気分になれるのだ。

またリノベーションされたホテルに面白さを加えているのが、館内に飾られたアートの存在。新館に通じる地下には廊下兼ギャラリーがあり、アルゼンチンの気鋭アーティストの作品が月替わりで展示されている。意外なほどに攻めた現代アートもセレクトしていたりして、クラシックなホテルとのコントラストがいい塩梅。歴史も緑もアートもあって、外に出ずに過ごす日もつくりたくなるホテルであった。

写真・図版

https://buenosaires.park.hyatt.com/en/hotel/home.html

CONSERVATORIUM HOTEL(コンサバトリアム ホテル)

オランダ/アムステルダム
音楽学校は30年後、大人の遊び場へと生まれ変わった

写真・図版

「コンサバトリアム ホテル」誕生のきっかけは、19世紀末にさかのぼる。もとはオランダ人建築家が銀行のために設計した建物で、その後1978年に銀行は合併のため移転。5年後に改装を経て有名音楽学校として生まれ変わり、しかし約30年後には音楽学校も移転。“CONSERVATORIUM=音楽学校”と前身へのオマージュを込めた名のもと、2011年にホテルがオープンした。

写真・図版

エントランスに入ると、いくつものバイオリンが吊り下げられたオブジェに迎えられる。これもまた地元の人たちに親しまれた音楽学校へのリスペクト。さらに進むと、高い吹き抜けが開放的なアトリウムに出る。アトリウムはビジターも気軽に入れるラウンジ&レストランになっている。デザインは、今回紹介する4ホテルのなかで最もコンテンポラリー。ミラノを拠点とするインテリアデザイナーのピエロ・リッソーニが改装を手がけ、家具はカルテルやカッシーナなどのイタリアブランドを使用。

銀行から始まり、2度の改装を経てイタリアの家具を使用と聞くと随分違ったものになっているようだけれど、実はホテルを作るにあたり当初の建物に近づける修復作業を施している。その結果、約120年前の建物といまのデザインが絶妙に融合した仕上がりとなり、アムステルダムの大人の遊び場ともなった。アムステルダムで遊び足りない夜は、このホテルの「TUNES BAR」へぜひ!

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<問い合わせ先>
ザ・リーティングホテルズ・オブ・ザ・ワールド(コンサバトリアム ホテル加盟先)
03-5551-0101
http://www.conservatoriumhotel.com



プロフィル
大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、年に10回は海外に渡航。タイ、スペイン、南米に行く頻度は高い。最近のお気に入りホテルはバルセロナの「COTTON HOUSE」。Instagram(@tomoko.oishi)でも海外情報を発信中。

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バルセロナ/スペイン 「コットンハウス」>>

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